
国家資格の、
賃貸不動産経営管理士
についての概要を知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
「賃貸不動産経営管理士」の資格の概要や、試験内容、勉強方法について、解説しています。

賃貸不動産経営管理士は、2021年4月21日に国家資格となった、比較的新しい国家資格です。
ただ、今後、
不動産関係の主要な資格のひとつ
として、重要視される資格になる可能性が大きいと言われています。
ここでは、賃貸不動産経営管理士の資格の内容についてわかりやすく説明しています。
賃貸不動産経営管理士とは

賃貸不動産の管理に関する新しい国家資格です!
賃貸不動産経営管理士とは、
賃貸不動産の管理に関する国家資格
です。
(2021年4月21日の国土交通省令で、 国家資格となった、比較的新しい国家資格です。)
また、賃貸不動産経営管理士は、以前は、民間資格だったものが、社会的な情勢を背景に、
国家資格化
しています。

賃貸不動産経営管理士は、不動産関係のなかで、
もっとも新しい国家資格です(2021年に国家資格化)。
その社会的な情勢とは、
サブリースや民泊を含めた賃貸物件に関するトラブル
です。
これらの物件の管理については、法整備の遅れもあり、トラブルが発生しやすい、あるいは、トラブルが発生している状況でした。
こういった状況を改善することが、賃貸不動産経営管理士が国家資格化された理由のひとつとなっています。
※サブリースとは?
サブリースというのは、いわゆる、「一括借り上げ」のことです。
例えば、〇〇建託や、〇〇コーポレーションといったアパート建築を専門に行う会社は、アパートを建てたあとに、関連会社で一括借り上げをして、運用するビジネスモデルで事業を行っています。
こういった一括借り上げの契約に関するトラブルの防止の為の法整備の一環で、賃貸不動産経営管理士が国家資格化されました。
また、通常の賃貸物件の管理業務に関して、これまでは、登録の義務化はなされていませんでしたが、これを機に、
条件によって、業者の登録が義務化
されています。
※管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者、および民泊物件の管理業者は「賃貸住宅管理業の登録」が義務化されました。

賃貸住宅(管理戸数200戸以上)や、民泊物件の管理をしている会社向けの資格なんですね。
その登録の際には、
業務管理者
が必要となり、業務管理者の要件のひとつに、
「賃貸不動産経営管理士」の資格
があります。
ですので、業者登録が必要な不動産会社では、
賃貸不動産経営管理士の資格保持者
を必要としているという状況になっています。
但し、現状では、業務管理者の要件として、
宅建士の資格
でも良いことになっています。
※業務管理者の要件には、上記に加えて、管理業務に関する2年以上の実務経験もしくは、実務の経験に代わる講習の修了も要件となります。
また、将来的には、業者登録の要件が、
賃貸不動産経営管理士のみになる
可能性もあります。(宅建士でもOKという要件が、外れる可能性がある)
ただ、これは、噂のレベルです。
しかしながら、そういう方向性になることは、可能性として十分考えられます。
賃貸不動産経営管理士の試験について

賃貸不動産経営管理士の試験は、下記のような内容になっています。
- 6つのカテゴリーのマークシート
- 四肢択一
- 50問
- 年1回の実施(11月)
- 受験申込は、概ね、8月中旬から9月下旬
- 合格率は、30%前後
- 管理士講習修了者は、5点免除あり
出題範囲
試験の出題範囲としては、下記の項目になります。
1.管理受託契約に関する事項
2. 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
3. 家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
4.賃貸住宅の賃貸借に関する事項
5. 法に関する事項
6.1から5までに掲げるもののほか、管理業務その他の賃貸住宅の管理の実務に関する事項
内容的には、それぞれ、
・賃貸物件の管理契約
・物件の管理業務
・管理物件の金銭管理
・賃貸契約の要件(成約や、更新等)
・法的な内容(賃貸借、契約等)
・その他の実務面
といった事項になります。
試験自体は、マークシート形式になりますので、宅建など、他の主な資格試験と同様のスタイルです。

主に、賃貸物件の契約や管理に関する内容が出題されます。
実施時期
毎年11月の試験になります。
宅建試験が、通常、10月ですので、宅建とダブル受験もしやすいような日程になっています。
あるいは、管理業務主任者の試験が、通常、12月ですので、管理業務主任者とのダブル受験もできます。
令和6年は、
・申込期間:令和5年8月1日(火)12:00~令和5年9月28日(木)23:59まで
・試験日 ;令和6年11月17日(日)
・合格発表;令和6年12月26日(木)
です。
試験時間
試験時間は、
13:00 ~ 15:00(120分間)
です。
2時間ですが、試験内容の見直しも含めると、結構、ぎりぎりの時間と言えます。
また、現状、宅建試験のような「ひっかけ」は少ないですが、今後は、「ひっかけ」にも注意が必要になる可能性もあります。
合格ライン、合格率
令和3年度の合格ラインとしては、
50問中36問以上の正解(正答率72.0%)
で、
合格率は、28.2%
でしたので、合格率を30%弱にする為の「合格ラインの設定」がなされたと推察されます。
また、令和4年の合格ラインは、
50問中34問以上の正解(正答率68.0%)
で、合格率は、
27.7%
となっています。
私自身は、令和2年度に受験しました。
内容的には、ひっかけ問題はなく、過去問含め、しっかりと学習すれば合格ラインに到達するという印象でした。
ただ、試験後の各専門学校の答案の解説で、1問だけ、
正解の見解が分かれた問題
がありました。
国家試験化になることで、試験の難易度が上がった為、難解な問題がだされたのだと思われます。
しかしながら、資格試験に共通することですが、難解は問題に固執するより、
確実に点をとれるところを、確実に得点する
ことが重要になると言えます。

合格率は、30%弱がひとつの目安になりそうです。
5点免除の制度(管理士講習)
賃貸不動産経営管理士試験は、宅建と同じように、
5点免除の制度
があります。
これは、事前に、
管理士講習の受講
を行うことで、修了年度とその翌年度の試験の50問のうち5問が免除されます。
管理士講習は、
・概ね2週間の事前学習
と
・スクーリングによる1日の講習
があります。
費用的には、18,000円前後の講習費プラステキスト代となっています。
過去のデータを見ると、5問免除の講習をうけることで、合格率はアップします。
5点免除の制度については、下記ページに詳細を記載しています。▼
賃貸不動産経営管理士の勉強方法

賃貸不動産経営管理士の勉強方法としては、大きく分けて、
・参考書等での独学
・通信講座
・専門学校
があります。
どれを選択するかは、
状況
によります。
ここでいう状況とは、
・既に、不動産系の資格を持っている
・不動産の実務経験がある
・独学の場合は、時間管理や、書籍だけの学習に自信がある
・通信講座で映像も交えて効率的に学習するほうが良い
・資格試験にかけられる費用面
・専門学校の場合は、近くに学校があるかどうか
などです。
どの学習法が良いかは、一概に断定することはできませんので、状況にあわせてベストを思われる方法を選択しましょう。
私の場合は、既に、宅建と管理業務主任者の資格を持っていたので、
市販の参考書と過去問、模試
で対応しました。
しかしながら、資格試験が初めての場合は、
通信講座での映像でのインプット
を活用することをお勧めします。
なぜなら、テキストでの学習のみの場合、特に、不動産系の学習が初めての場合、正直、
眠たくなる
というか、
なかなか記憶に定着しづらい
部分があるからです。
私も、宅建の試験の際には、
動画がある通信講座
で学習しました。

動画での学習を併用したほうが、記憶に残りやすいですね。
また、管理業務主任者の際にも、同様に、動画がある通信講座で学習しましたが、その内容だけでは、実際の問題を解くには、ちょっと弱いように感じたので、市販の問題集も併用しました。
私の経験から言うと、効率的な方法としては、
映像による講座 プラス 必要に応じて市販の書籍(問題集、模試等)
という組み合わせをお勧めします。
無料講義動画 全25回」の特典がついているテキスト(LEC)
LECは、市販のテキストにも定評があります。
さらに、テキストの購入者特典として、
「全編無料講義動画 全25回」
を視聴することができますので、おすすめです。
■賃貸不動産経営管理士 合格のトリセツと、 過去問題集(LEC)
1問1答形式の問題がついているだけでなく、書籍の購入者には、
全編無料講義動画 全25本
が視聴できる特典があり、とても、コストパフォーマンスの良い本です。
動画の内容は、重要ポイントのみの解説です。(全ての内容を網羅している訳ではありません。)
テキスト例 ▼

過去問は、こちら ▼
通信講座(LEC)
さらに、がっつり学習する場合は、
通信講座(LEC)
がおススメです。
賃貸不動産経営管理士になるメリット

賃貸不動産経営管理士になるメリットとしては、下記のことをあげることができます。
・賃貸管理に関する実務的な知識を得ることができる
・不動産の仕事をする上で、専門家ということで、顧客からの信頼を得やすい
・賃貸管理をしている会社では、業務管理者としての登録をすることができる
・国家資格ですので、不動産会社の場合、通常は、資格手当の対象となる場合が多い
はっきりいって、デメリットはありません。
不動産の仕事をしておられる方や、これから目指す方においても、
資格を取得することで、賃貸管理に関する専門知識をもっている
ということを、対外的に示すことができます。
賃貸不動産経営管理士の年収

賃貸不動産経営管理士の年収も気になるところです。
不動産関係のお仕事の場合、通常、
ベースとなる給与
と
資格に関する手当
があります。
賃貸不動産経営管理士の国家資格化に伴い、資格手当の対象となる会社も多いと予想されますので、資格手当による収入アップにつながる可能性があります。
(もっとも、賃貸不動産経営管理士は、新しい国家資格ですので、資格手当の規定に含まれているかどうかは、それぞれの会社の社内規定を確認してみましょう)
ベースとなる給与に関しては、基本、
日々の業務の成果
による評価(人事査定)になります。
その中で、資格を持っていることで、
顧客からの信頼を得やすい
などの2次的な効果があるという位置づけになります。

賃貸不動産経営管理士の資格を取得することは、
メリットこそあれ、デメリットは無いと言えます。
まとめ

不動産に関連したお仕事をされている場合や、これから目指される場合、
賃貸不動産経営管理士の資格
を取得することは、
不動産の知識
を修得することによる、実務的なメリットがあると言えます。
また、賃貸管理をされている会社にお勤めの場合には、
業務管理者の要件のひとつ
ともなっていますので、その価値は今後も高まると言えます。
いずれ取得する予定がある場合は、新しい国家資格ということもあり、今後、試験の難易度も上がる可能性もある為、比較的、速いタイミングで取得されることをお勧めします。
以上、「賃貸不動産経営管理士とは、どんな資格か?」についてでした。
