不動産の売買契約書の、「住宅ローン特約」をわかりやすく説明!

不動産の売買契約書の、「住宅ローン特約」をわかりやすく説明!

2022年6月8日
クラスイエ

住宅ローンで住宅を購入する際に、売買契約後に、
 住宅ローンの本審査がNG
になった場合、どうなるのかを知りたい。

こんなテーマに関する記事です。

クラスイエ

住宅ローンで新居を購入する際には、不動産の売買契約書の中にも、「住宅ローン」に関わる記載をします。その内容は非常の重要です。ここでは、どういったことを記載しておくべきかについてわかりやすく説明しています。


クラスイエ

マンションや住宅を購入する際には、
 住宅ローン
を組む場合が多いです。

その際に、売買契約書の中にも、
 住宅ローン特約
と呼ばれる事項を記載します。

これは、
 万が一、住宅ローンの審査(本審査)が通らなかった場合
に、
 売買契約書を白紙解除する
という事項になります。

住宅ローンに関するその他の注意点とあわせて、下記に記載します。

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住宅ローン特約とは?!

クラスイエ

住宅ローン特約とは、住宅ローンで不動産(住宅)と購入する際に、
 万が一、買主が住宅ローンを借りられなかった際
に、
 違約金等の負担をすることなく、無条件で契約を解除することができる
というものです。
この際、売買契約時に支払った手付金も返還されます。

この条項がないと、
 銀行での、住宅ローンの本審査がNG
になった際に、違約金の対象となってしまい、買主にとってのリスクとなります。

売買契約の標準的な書式(宅建協会の書式等)においては、通常、契約条項の中の、
 (融資利用の場合)
という項目があり、そこに、下記のような記載があります。

買主は、この契約の締結後すみやかに、標記(I)の融資の申込手続きをしなければならない。
2 標記(I)の融資未承認の場合の契約解除期限までに前項の融資の全部又は一部について承認を得られないとき、又、金融機関の審査中に同契約解除期限が経過した場合には、この契約は自動的に解除となる
3 前項によってこの契約が解除された場合、売主は、受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。
4 買主が第1項の融資の申込手続きを行わず、又は故意に融資の承認を妨げた場合は、第2項の規定は適用されないものとする。 

※標記(I)とは、「売買契約書内」の融資申し込み先や、融資の承認予定の記載箇所を指します。

宅建協会の契約書式より引用

上記の書式では、契約条項の中に、住宅ローン特約が既に盛り込まれた様式になっています。

契約書の書式に関しては、大手の不動産会社の場合は、通常、契約書も独自のものになります。
また、中小の不動産会社の中には、宅建協会の標準書式を使用していないようなケースもありますので、注意しましょう。

いずれにしても、
 住宅ローンがNGになった場合の契約解除
の事項があるかどうかは、非常に重要なポイントになります。

また、「住宅ローン特約」の記載があっても、それが適用されない場合があります。
その内容をみてみましょう。

「住宅ローン特約」が適用されない場合

クラスイエ

売買契約書に、「住宅ローン特約」の記載があっても、それが、適用されない場合
があります。

「住宅ローン特約」が適用されないケースとしては、
 住宅ローンの申込みをしなかった場合
や、
 書類準備などを怠ったため借入れができなかったような場合
があります。

この場合、結果的に、
 違約金の対象
となってしまいます。

違約金は、通常、売買代金の20%ですので、かなりの高額になります。

ですので、住宅ローンの準備は、確実に行っておくことが重要になります。
必要書類に関しても、事前に銀行に確認の上、しっかりと揃えておく必要があります。

ここでいう、
 住宅ローンの申込み
は、住宅ローンの「本審査」のことです。

ですので、現実的には、
 売買契約の時点で、本審査に必要は書類は、すべて用意
しておいて、
 売買契約後には、銀行に、本審査の書類を提出する
という段取りが安心です。

その他の注意点

クラスイエ

「融資未承認の場合の契約解除期限」について

売買契約書には、
 融資未承認の場合の契約解除期限
の記載があります。

万が一、銀行の住宅ローンの審査が遅れて、その結果が、
 融資未承認の場合の契約解除期限
を超えてしまうと、結果がNGになっても、売買契約の解除ができなくなります。

ですので、
 融資予定の銀行が、本審査にどれくらいの期間が必要としているのか
を事前に確認して、余裕をもって、
 融資未承認の場合の契約解除期限
の日程を設定する必要があります。

また、念のため、
 本審査でNG
になった場合に、他行でも審査を進める場合は、それを見込んだ日程を記載する必要があります。
状況に応じての判断とはなりますが、いずれにしても、余裕をもった日程を設定すると良いと言えます。

また、
 ネット銀行での住宅ローン
の場合は、要注意となります。

ネット銀行の場合は、事前審査が簡易な反面、
 本審査でかなりの期間を要する
ケースが多いというのが実状です。

ネット銀行は、金利が安いというメリットがありますが、本審査の結果がでるのが遅い為に、融資未承認の場合の契約解除期限に間に合わず、違約金の対象となってしまうようでは、本末転倒となります。

ですので、ネット銀行を利用の場合は、審査に要する期間を確認の上、リスクの無いように進めることが大切になってきます。

「融資を申し込む銀行」の記載について

売買契約書の中には、
 「融資を申し込む銀行」
についての記載があります。

この銀行名については、
 具体的な名称
を記載するようにしましょう。

事前審査で、複数の銀行でOKをもらっているようでしたら、万が一のことも想定して、
 複数の銀行を記載
してもOKです。

不動産会社の中には、売買契約書を作成する際に、具体的な銀行名を記載せずに、
 市中銀行
といった記載をするケースがあります。
特定の銀行名が記載されていないと、
 住宅ローンの本審査がNGの場合の判断が曖昧になる
というリスクがあります。

実際、「市中銀行」と記載だったことによる過去のトラブル事例を調べてみると、
住宅ローンの本審査がNGになったあと、不動産会社が、高金利のノンバンクでの融資か違約金ということをもとめた為、裁判に発展した事案
がありました。 

つまり、 
 具体的な銀行名が記載していない
為に、予定していた銀行での住宅ローンの本審査がNGだったとしても、 
 他の金融機関での融資を勧められるというリスク
が発生してしまう訳です。
もっとも、この場合は、仲介した不動産会社が、悪い不動産会社だった場合の事例です。

しかしながら、契約ごとにおいては、なるべくリスクのない方法で進める必要がありますので、上記に記載したポイントにも注意すべきと言えます。

以上、不動産の売買契約書の、「住宅ローン特約」についての説明でした。

クラスイエ