不動産の「査定書」の内容を見るときの、
ポイントや注意点
を知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
不動産の売却でで、不動産会社に「査定」を依頼する際のポイントや、注意点について、わかりやすく説明しています。
所有している不動産の売却を検討する際には、
その価値がどれくらい
かを知る為に、
不動産会社に「査定」を依頼する
場合があります。
査定書を見るのポイントとしては、
査定金額とその根拠
が明確に説明されているかをチェックする必要があります。
また、査定金額に関しては、
必ずしも、「査定金額」イコール「売却できる金額」ではない
というケースが多いということも、念頭においておく必要があります。
査定金額は、あくまで参考値となりなります。
査定内容をみるポイントとあわせて、下記に、順に説明していきます。
査定内容をみるポイントとは?!
査定内容をみる際のポイントとしては、主に、下記の3点になります。
・査定金額
・査定金額の根拠
・売却活動に関する提案
査定金額
査定書の目的である、
査定金額
がもっとも気になる部分にはなります。
査定金額自体は、基本は、
1.割合方式
2.取引事例比較法
3.収益還元法
といった方法をベースに算出することになります。(詳細は、後段に記載しています)
しかしながら、査定金額自体は、最終的に、
不動産会社の判断が加味されて設定される
ことになります。
ですので、結果、不動産会社によって、バラツキがあります。
査定金額の高い低いに、一喜一憂せずに、
その根拠
を確認して、客観的に判断することが大切になります。
査定金額の根拠
どのような根拠をもって、査定金額を算出しているか、そのプロセスが重要になってきます。
「対象不動産の売却」という観点からすると、査定内容が、
・周辺の類似物件の取引価格をしっかりと把握しているか
・対象物件の状況を理解して、それらを、査定金額に反映されている?
が重要になります。
また、周辺の類似物件の取引価格に関しては、
ここ数年の動向
をみて、
上昇傾向、下降傾向、停滞傾向
にあるのか、それ等に対してどのような見解になっているかもチェックします。
そういった点を踏まえて、
合理的な根拠
に基づいて、
査定金額が算出されているかどうか
を確認します。
売却活動に関する提案
査定書には、通常、査定金額をもとに、
どのような売却活動を行うかの提案
が記載されています。
提案内容については、それぞれの不動産会社によっても異なってきますが、
どのような手順で、売却活動をおこなっていくのか
を確認します。
また、
販売価格
に関しても、柔軟な想定がなされているかもチェックしましょう。
つまり
問合せの状況に応じて、設定価格を変更する可能性
や、
値引き交渉にどのように対応するのか
といった点も想定しておく必要があるということです。
また、どのような媒体を使って、物件の告知を行うかなども重要になります。
ちなみに、不動産会社の中には、
物件管理が主体の会社
もあり、売買に不慣れなケースもあります。
そういった会社の場合、上記のような点が不十分なケースがあります。
ですので、どのような手順で売却活動を行っていく予定なのかも、事前に、しっかりとヒアリングしておくと良いと言えます。
査定における注意点
不動産の査定金額と、実際に売却できる金額との違い
査定金額の記載の仕方としては、
〇〇万円
といった、直接的な記載の仕方の他、
〇〇万円~〇〇万円
といった、幅を持たせた記載の仕方があります。
「実際に売却できる価格を想定する」という観点で考えると、
〇〇万円~〇〇万円
といった、価格幅があることを前提にした記載の方が、より現実的な査定と言えます。
なぜなら、周辺の条件の近い物件の過去の取引事例をみてもわかるように、
実際の取り引きにおいては、その価格は、決まったものではなく、バラツキがある
からです。
また、対象となる不動産の個々の状況によって、価格の設定も、微妙に変わってきますので、
実際に売れそうな金額
ということで考える場合は、価格の幅を持たせて、検討するほうが、より現実的と言えます。
それに対して、査定書で、
〇〇万円
と、直接的な金額を記載する形式もあります。
この場合は、当然、
その金額で売却できるかどうかは、不確定な状況
となります。
なぜなら、実際の売却活動では、
その金額で、反応が悪い場合は、売却価格の変更
を行ったり、
買主によっては、価格交渉を行うケース
もあるからです。
特に、査定の金額が、取引相場に対して高い価格の場合が、価格変更や、値引き交渉の可能性がでてきます。
もちろん、査定金額が、〇〇万円といった断定的な設定の場合においても、通常は、それなりの根拠があります。
ただ、最終的には、不動産会社の判断で導かれた数値になりますので、
査定をする担当者の個人差
がありますし、なかには、不動産会社の思惑が影響しているケースもあります。
不動産会社から見た思惑とは?!
不動産の査定をする際に、不動産会社の目的と、売主の目的には、微妙にな違いがあります。
売主側としての査定の目的は、
・自分の不動産がどれくらいの価値があるのか、
・その結果、どれくらいの価格で売却できそうか
を知ることにあります。
それに対して、不動産会社の査定の目的のひとつに、
・自社に仲介の依頼をもらう
ということがあります。
つまり、不動産会社とすれば、査定をしたあと、
売主さんと媒介契約を取り交わしたい
という思惑がある訳です。
媒介契約を取り交わすことで、
自社の取り扱い物件を増やす
ことにつながってきます。
ある意味、そういう目的があるので、
査定自体は、無料で行う
ということになります。
不動産会社のなかには、
適正な査定を行う
ということより、
媒介契約を取り交すこと
を優先してしまうような先もありますので、注意しましょう。
そのような場合、査定金額をかなり高めの設定にして、提示するようなケースもあります。
査定金額を、相場より高いの設定にするケースとは?!
不動産会社の中には、
査定金額をかなり高めの金額で提示する
ような場合もあります。
売主側としては、査定金額が高いと、
資産価値を高く評価してもらった、
あるいは、
この不動産会社に依頼すれば、高く売れる可能性がある
と思ってしまいがちです。
ただ、現実はそうではありません。
買主側の視点で考えると、
周辺の売買相場よりかなり高い金額が設定されている物件
があったとしても、実際問題、その金額で購入する可能性は低くなります。
割高の物件を購入する人は、極めて、少ないわけです。
その結果、買主が見つからりにくくなり、結果、売買できる可能性が低くなります。
そうなると、いくら査定金額が高くでも、結局、
絵に描いた餅
になってしまいます。
もちろん、その金額で売却できる可能性はゼロではありませんが、その可能性は、かなり低くなるということです。
結果、
途中で価格変更
せざるをえなくなります。
ですので、売主としては、
査定金額が、周辺の取り引き相場より、かなり高かった場合には、慎重に判断する
ほうが良いと言えます。
また、上記の理由の他に、単に、
周辺相場をしっかりと調べずに、適当に査定金額を算出
して、結果、高めの査定になるというケースもあります。
いずれにしても、しっかりとした対応をする不動産会社や、そうでない不動産会社など、いろいろな会社がありますので、仲介を依頼する先を選定する際には、
複数の不動産会社の対応
をみて、検討されることをお勧めします。
ちなみに、
逆に査定価格が低い場合
は、どのように解釈すれば良いのでしょうか。
想定される理由としては、
同様に、周辺の取り引き相場を把握していない
という理由の他、
最初から低い価格を設定して、短期間で、成約に結び付けたい
というケースもあります。
【補足】エリア外の不動産会社に査定を依頼する?!
その他にも、
対象物件のエリア外の遠方の不動産会社に査定を依頼
すると、
周辺の状況を把握していない為、実際の相場よりかなりズレた価格を設定するようなケース
もあります。
まれに、遠方に引っ越した際に、その引っ越し先の近くの不動産会社に仲介を依頼されるケースがあり、その場合、上記のような価格設定をしてしまうリスクがあります。
査定方法について
査定金額を算出する方法として、ベースとなる考え方は、下記に3つになります。
1.割合方式
2.取引事例比較法
3.収益還元法
各方法の内容
1.割合方式
土地の評価プラス建物評価で算出します。
土地の評価は、公示価格、路線価といった、行政で算出している数値をもとに、算定します。
また、建物の評価は、建築時のコストから経年分を差し引くなどして算出します。
2.取引事例比較法
近隣エリアの、「その物件と条件の近い物件」の過去の取引事例から算出します。
ただ、対象物件の個々の状況によって、プラス評価、あるいは、マイナス評価部分を加味して算出します。
3.収益還元法
仮に収益物件として捉えた場合、収益率から逆算して物件の評価をする方法です。
周辺の相場から賃料を想定して、それを想定利回りで割り戻して、数値を算出します。
どの方法が良いのか?!
実際に売却できる金額をみるには、
取引事例比較法
が、現実的な方法となります。
もちろん、そのエリアの中でも、個々の物件によって、
細かい条件
が異なってきますので、それを加味しての判断になります。
細かい条件とは、
土地の場合;接道の向きや、土地の形状など
戸建て住宅の場合;築年数、間取り、リフォーム履歴、間取りなど
マンションの場合;築年数、間取り、階数、眺望など
などです。
そういった点を踏まえて、査定金額を算出することになります。
査定書の基本的な項目とは?!
不動産の査定書は、会社によって、その様式は異なりますが、概ね、下記のような項目で構成されています。
・前書き
・査定についての説明
・不動産売却の流れ
・査定物件の流れ
・物件の地図
・路線価
・取引事例
・査定金額
・査定金額の説明
・不動産会社からの提案内容
上記にも記載しましたが、この項目のうち、特に、
・査定金額
・査定金額の説明(査定金額の根拠)
・不動産会社からの提案内容
について、内容をよく確認しておきましょう。
まとめ
不動産の査定金額は、あくまで、
不動産会社の判断によって、算出される数字
となります。
ですので、不動産会社によって、
価格差
はありますが、しっかりとした査定を行っていれば、その金額は、概ね、
過去の取引価格の幅
に収束されると言えます。
逆に、その幅から、大きくズレているような査定金額には、注意が必要と言えます。
また、ネット上の「一括査定サイト」がありますが、こういったサービスを利用する際にも、注意が必要です。
なぜなら、
査定を依頼する側は無料
ですが、
そのサイト経由で査定を受けた不動産会社は、そのサイトを運営している会社に費用を払っている
からです。
つまり、コストが発生しているということになります。
そのコストを回収する為には、
査定をした不動産の媒介契約
を取り交す必要があります。
その結果、不動産会社によっては、何度も連絡(営業)をしてくるようなケースもあります。
「一括査定サイト」を利用する際には、こういったことも想定して利用しましょう。
一括査定サイトに関しては、下記ページでも解説しています。
以上、「不動産の売却時に、査定内容をみる3つのポイントと注意点」についての説明でした。